精神科女医の健康談義

精神科医の立場で精神科医療や栄養療法、漢方治療などについてわかりやすくお伝えしています。

考えすぎると健康を害する

考えすぎると健康を害する。

I think too much and then put myself in a bad mood.

先日漢方の講演会で、富山大学大学の渡り英俊先生、順天堂大学の栗原由美子のご講演を聞く事ができました。

そこで栗原先生が紹介されていた言葉です。

 

典型的なうつ病の方をみていると、過去を悔やみ、将来を憂い、常に考えすぎている方が多いように思います。

 

漢方治療では、こういった人には「帰脾湯」がよいそうです。

帰脾湯を飲みだして、しばらくすると「気楽に思えるようになった」「考え込むことが少なくなった」と効果を実感する方がおられるようです。

 

帰脾湯というおは気血双補剤の一つで、漢方でいうところの「気」と「血」を補ってくれる薬剤です。人参や黄耆、甘草、当帰、生姜、大棗などを含みます。

帰脾湯は古来より健忘に用いられてきたという歴史があります。現在マウスレベルで記憶障害や脳の神経の変性が改善されるなどの研究結果がでつつあります。

一般的に帰脾湯の適応としては、虚証で貧血や不安、不眠がある人ですが、認知症の人に用いると認知機能とこれらの症状があわせて改善される可能性があります。

依存性がない、ふらつきや転倒がないなどのメリットもあり、高齢者にも使いやすいですね。

うつ病の患者さん、特に初老期の方は「頭が働かない」「思い出せない」「覚えられない」と言い、「認知症に違いない」と訴える方が非常に多くみられます。

うつ病による思考力の低下や不安などから、こういった訴えになると考えられますが、

こういった方にも帰脾湯というのは一役かってくれそうです。

 

その他、不定愁訴(Medeically Unexplained Synptoms)に対して効果のある漢方として、半夏厚朴湯、柴胡加竜骨牡蛎湯柴胡桂枝湯乾姜湯、十全大補湯、五苓散、当帰芍薬散、八味地黄丸、牛車腎気丸などを紹介されていました。これらは精神科医であれば上手く使えるようになりたい漢方薬です。

 

ラソンに向けて準備をしてる私としては、この中で五苓散の熱中症予防という効果に注目しました。

五苓散は利水剤であり、浮腫みなどの水毒の治療として使われます。利尿薬と違い

体内の水分のバランスを整えます。日常的であれば、二日酔いの予防や、気圧の変化による頭痛に使うことがあります。最近では慢性硬膜下血腫の治療にも用いられるようになっています。

そして最近になって五苓散は細胞膜のアクアポリンという、水が唯一通れるチャネルに作用することがわかってきました。科学が漢方に追い付いてきた例の一つですね。

前置きが長くなりましたが、水を調整するということで高齢者の熱中症の予防にもよとのことです。

ということはランニング前に飲むと熱中症や脱水予防になるのではないでしょうか。

ランニング前には足がつるのを予防するために芍薬甘草湯、脱水予防に五苓散、この二つで決まり!という日がくるかもしれません。

 

栗原先生は「最大多数に有効な治療(ガイドライン)ではなくその人に有効な治療を行う」とおっしゃっていました。私も座右の銘にしたいほど、共感できる言葉でした。
現在の医学はエビデンス偏重主義ですが、漢方治療や栄養療法では個体差、つまりその人自身がどういう遺伝的体質で、何が不足もしくは過剰となっている状態で、症状が出ているのかを考えて治療を行います。そこには無作為に選んだ患者さんの中の、大半に効果があった治療を行うわけではありません。

目の前の患者さんに効果のある治療を模索し続けたいものです。

 

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大阪マラソンへの道②ー大会2か月前の走り込みー

 

ラソン初心者が、3ヶ月でフルマラソンを走るチャレンジ、以下の記事の続きです。

 

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10月は脚力、心肺機能、精神力を高めるためにとにかく走りこむことを意識しました。11月は怪我なども含め無理ができないので、大事な1ヶ月です。

9月は90km走ったので、10月は150kmを目標にしました。

週に5日走り、毎日5km以上、調子のいい時は10km、週末には15kmか17kmを走りました。

5kmは気持ち良く、楽に走れるようなりました。もはや、走らないと気分も落ち着かず、走り終わるとその日は安心して眠れるといった具合です。走ってる途中では、疲労感を全く感じず、頭の中がすっきりとして気持ち良く感じるタイミングがあり、βエンドルフィンが出ているのを実感します。

そして人生初めて15km以上を走りました。気力は大丈夫でしたが、膝や足首が痛くなってしまったので、サポーターを購入。

サポーターを使用すると同じ15km走っても膝の痛みはほぼなくなりました。

走る速度は相変わらずゆっくりです。とにかく同じペースで走り続ける事を意識しています。

15km走るときも、1km=7分~7分20秒ぐらいで走り続けました。

 

10月26日にはハーフマラソンにエントリーしました。

初めての大会で収穫は非常に大きかったです。

スタートしてから、いつもと違う状況でペースがつかめず、1週目はなんと1km=6分15秒で走っていました。これは早すぎると思いペースを落としても、6分30秒ぐらい。その後もゆっくりゆっくりを意識して走りましたが、結局6分50秒前後をうろうろしていました。残り5kmあたりでかなりしんどくなり、最後の3kmは1km=7分30秒ぐらいかかりました。

結果は2時間20分。最後の5kmはかなり辛かったですが、一度も止まらずに走り続けることができたので大満足です。

走り終わった後は爽快感、満足感で、辛かった事は忘れてしまいそうでした。夜は焼肉をお腹いっぱい食べました。

 

栄養について

長距離を走る前には前回に書いたサプリに加え、BCAAを摂取しています。

そしてランニング中にも10kmあたりから、BCAAのゼリーを少しずつ飲みます。30kmを超えて足が全く動かなくなるというのは、おそらくそこで材料が枯渇することで、ATPが十分に産生できなくなるからではないかと思います。従ってそこに至る前に、BCAAや糖分などを摂取しなければなりません。10kmあたりから、お腹が痛くならない程度にこまめに摂取するようにしています。これは非常に効果があるように思います。足が痛くなったり、酸素不足でお腹が痛くなることはありましたが、体が動かないということはハーフまでの時点では経験していません。

 

BCAAについて

BCAAは必須アミノ酸であるバリン、ロイシン、イソロイシンです。これは糖新生の材料になるため、運動中のエネルギー産生には不可欠です。筋肉の分解も抑制してくれます。

しかし、夜の運動後にはBCAAは摂取していません。

夜の睡眠にはメラトニンが重要です。メラトニンセロトニンから生成されますが、セロトニンの材料はトリプトファンです。

トリプトファンは脳血液関門を通って、脳内に入りますが。しかしBCAAがあると、脳血液関門を通る際にトリプトファンとBCAAが競合し、優先的にBCAAが脳内へ移行します。そうなるとトリプトファンが脳内へ移行しにくくなり安眠が阻害される可能性があります。

BCAAは脳を覚醒させる方向に働きますので、朝や昼に摂取することが望ましいです。

 

2時間走り続ける事ができればフルマラソンを完走できると聞いていたので、今月のハーフマラソンは大きなステップでした。

しかし、限界に近い状況だったので、まだまだフルマラソンを完走する自信はありません、、、

 

11月はいよいよ最後の1か月!あまり無理をせずに調整していきたいと思います。

何より大きなチャレンジを楽しみたいと思います。

 

 

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認知症発症の危険因子ー第9回認知症予防学会ー

名古屋国際会議場で開催されている、第9回認知症予防学会に来ています。

 

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2017年にランセットで、認知症発症の危険因子については以下のように発表されています。
修正可能な要因は35%、修正不可能な要因は65%です。修正不可能なものは主に遺伝的な要因です。


修正可能な要因は各年代によって異なります。


18歳未満では低い教育レベルが危険因子になります。

これは修正可能というか、親の心がけ次第かもしれません。
45歳~65歳つまり中年期では、肥満が1%、高血圧が2%、難聴が9%のリスク因子となります。

難聴が9%!なんと肥満や高血圧を抑えて圧倒的な高さです。これは最近のトピックスでもあります。もちろん難聴であれば、コミュニケーションに支障が来し、対人交流を控え、引きこもりがちになる可能性があります。こうなると社会的フレイルにつながり、認知症の原因となりそうです。学会では早期の補聴器や聴力訓練などがあげられていましたが、これらによる効果はまだ明らかではありません。

とりあえず難聴の方には、不便でも人とコミュニケーションをとるように、補聴器を使ってでも外に出ましょうとお伝えするのが良さそうです。

老人性難聴の原因について調べていると、内耳機能の低下だけでなく、脳の中枢機能の低下も原因になるとのこと、そして酸化ストレスにより進行が早くなる、つまり動脈硬化や高血圧、糖尿病などとの関連も強いようです。
・・・・つまり原因は認知症とかなりオーバーラップ・・・というかほぼ同じです。認知症と難聴は原因が共通で、お互いがお互いをリスク要因と考えているようです。そうであれば、補聴器をつけたぐらいでは大した予防にはならないでしょうね。やはり、もっと若いころから生活習慣による対策が必要で、難聴も認知症も予防しなければなりません。
ただ難聴と認知症の関係に関してはもう少し研究結果を待ってみようと思います。

 

65歳以上つまり高齢期では糖尿病が1%、社会的孤立が2%、運動不足が3%、抑うつが4%、喫煙が5%です。


注意が必要なのは年齢によってリスク要因が異なるということです。中年期では肥満がリスク要因ですが、高齢期では痩せすぎの方がリスクとなります。これは肥満のパラドックスと言われているそうですが、分子栄養学的には中年期の肥満は脂肪肝高血糖などによる慢性炎症を引き起こし、当然認知症のリスクが上がる、高齢期での痩せすぎは、必要な栄養素の欠乏と関連するので、当然こちらも認知症のリスクが上がりますね。


喫煙のリスクに関しては、過去の喫煙ではなく現在喫煙している、ということがリスク要因になるようです。つまりずっと吸ってるから今更やめても一緒と思わずに、今から禁煙することが大切ですね。


うつに関しては、中年期までのうつは認知症と関連を認めず、高齢期のうつが関連するとのこと。これは臨床をしていて実感することと一致します。しかし臨床で経験する中で高齢期のうつ病は、うつの診断基準を十分に満たし、認知症を除外診断できたとしても、認知症の初期もしくは前段階を見ているのかもしれないと感じることも多く、ここは関連性の評価は難しいところです。


あと面白かったのが、歩行速度の低下はMCI(軽度認知機能低下、認知症の前段階)の発症に先行するというものです。男性はMCI発症の15年前、女性は5年前から、歩行速度ががくっと落ちることがあるそうです。横断歩道を青のうちに渡れなくなってくると、注意が必要かもしれませんね。

 

現在、抗認知症薬の開発は停滞しています。それは認知症は発症の何年も前から脳の細胞レベルでの変化は始まっていること、そして認知症の原因が多岐に渡るからといえるでしょう。

 

できる限り若い頃から予防となる生活習慣を心がけたいものです。

 

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双極性障害の話

双極性障害にはⅠ型とⅡ型があります。

 

その違いは簡単に言うと、躁病エピソードがⅠ型は躁状態、Ⅱ型は軽躁状態ということです。この二つは「程度の差」ではなく、病態が異なると捉えた方がよいです。

 

Ⅰ型の場合、躁状態になった際には、ほぼ確実に入院が必要になります。

躁状態では、本来のその人がするはずのない問題行動を次から次へとやっていまいます。上司に喧嘩をふっかけたり、財産を使い果たしたり、莫大な借金をしたり、浮気をしたり。病気であったとしても「取返しのつかない行為」をしていまうのがこの病気です。入院は治療のためでもありますが、何より「取返しのつかない行為」を阻止するためでもあります。その人の尊厳を守る事と、被害を最小限にとどめる事が、治療のポイントの1つだと考えます。これそ阻止できないと、その後に訪れるうつ状態で、これらの行為を後悔し、自責の念にかられ、追い討ちをかける事になります。

 

II型の軽躁状態では、必ずしも入院は必要ありません。いつもよりテンションが高い、良く喋る、アイデアが次々思い浮かぶ、といった状態になります。周囲も、元気でよく動き、よく働くなどで容認することもあります。

本人も元気で何でもできるこの状態が本来の自分と考え、この状態を希求してしまいがちです。ここがII型の治療を難しくさせる1つの要因です。

ではなぜこの状態を予防しないといけないのでしょうか。

それは「躁状態は持続可能なパフォーマンスではない」からです。これは双極性障害の人だけでなく、家族や職場の人も覚えておかなくてはなりません。

躁状態の後には、ほぼ必ずうつ状態がやってきます。動きすぎた故、その後に長い長いうつ状態に突入することが多々あります。

II型は、多くの期間をうつ病相で過ごすと言われています。双極性うつの治療は未だ確立されておらず、治療は容易ではありません。この点からも治療者は、患者さんに嫌がられつつも軽躁に注意を払います。

再発を予防するためには、患者さんも周囲も、これらの事をよく理解し、受け入れる必要があります。

双極性障害では適切な心理教育を受けた人の再発が少ないというデータもあります。

うつ病学会のHPに心理教育の資料があるので載せておきます。

 

https://www.secretariat.ne.jp/jsmd/ippan/shiryo.html

 

Ⅰ型の再発予防に対して薬物療法は非常に有効です。

Ⅱ型はI型に比べて薬物療法の有効性は劣ります。Ⅱ型は過眠、過食や不安症を合併する事が多いので、病態が複雑になりがちです。

症状や合併症をみると、Ⅱ型は栄養療法で取り扱う、低血糖症や副腎疲労や過緊張の問題などがかなり関与しているとも言えます。

私はⅡ型は特に、疾病の心理教育だけでなく栄養療法が重要だと考えています。

 

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うつ病にならないための7か条

今週は京都で開催している、第39回日本精神科診断学会に参加しています。

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抗加齢学会や栄養関係の研究会などに比べて、やはり最新の研究結果や知見は乏しい印象です。しかし日々の臨床のヒントなど、得るものも多くありました。

 

気分障害で、非常にご高名な坂元薫先生(赤坂クリニック 坂元薫うつ治療センター)の講義を久しぶりに聞くことができました。

今回は、「双極性障害治療の新たな潮流」という題でしたが、双極性障害の治療の難しさを改めて実感しました。双極性障害については、次回のブログで改めてお話ししたいと思います。

 

坂元先生の掲げておられる「うつ病にならないための7か条」をここに掲載しておこうと思います。

 

①完全主義をやめる。

②自分のミスに厳しすぎるのをやめる。

③全てをコントロールしようとするのをやめる。

④余計な関わりをもつのをやめる。

⑤自分の体調や健康を無視するのをやめる。

⑥見栄を張って助けを求めないのをやめる。

⑦ストップして自分や家族のために時間をとるようにする。

 

心当たりはないでしょうか?

うつ病はきちんと治療をすれば必ず治る病気だと私は考えています。しかし発症すると多くのものを犠牲にします。そして、寛解しても再発のリスクがついて回ります。

そこで、発症と再発を予防するという事が最も重要だと考えています。栄養療法を広めたいというのも予防という観点からですが、この7か条の心がけ1つでも、大きな予防効果があるかもしれません。

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大阪マラソンへの道①ーランニング経験ゼロからー

2019年12月1日開催の大阪マラソンに出場することになりました。

ランニング経験はゼロですが、40歳の記念にと友人と申し込んだところ、私だけが当選していまいました。

不安を通り越して憂鬱になっていた時期もありますが、これも大きなチャレンジだと思い、完走を目指して頑張ることにしました。

(目標は6時間です笑)

この貴重な経験をブログに残しておきたいと思います。

 

私のこれまでの運動経験

①小学校の時の得意科目は体育、短距離は早かったけど長距離は苦手。5年生のマラソン大会は仮病でずる休み。

②中学はバレー部。高校もバレー部だが、進学校で勉強優先のため活動はかなり少なめ。

③大学はゴルフ部。バッグをかついでラウンドをしていたので脚力は鍛えられたかもしれない。

④仕事を始めてからは週に1回ジムでステップやヨガなどのプログラムに参加。

運動は好きですが、体力はおそらく普通程度。長距離ランニングの経験はないのです。

これで果たして完走できるのでしょうか・・・

 

いずれにせよ、やるしかないので、最善を尽くしたいと思い、計画をたてました。

7月、8月は週1回5kmを走りました。これが暑さもあってしんどいのなんの...

5km完走すら厳しい状況でぐたぐたでした。

とにかく走る事に慣れないといけない!と思い、9月からは距離は短くても、できるだけ毎日走ることにしました。

当直の日は走れないので、だいたい週5回、3km~5kmを走るようになりました。

毎日のように走り始めると、走り始めの1kmがとても辛かったのが、楽になり、走ることが気持ちいいと思えるようになってきました。今日も早く走りたいと思う日もでてきました。

そして9日には7.5km、17日には10kmを走ることができました。

5kmも走れなかった事を思うと、かなりの成長です。10km走り終わった時は気分もすっきりし、体も元気でマラソンの楽しさが少しわかったような気になりました。

亀のようにゆっくりとした成長ですが、マラソンは自分との戦い、自分のペースでとにかく継続すると心に誓い、こつこつ練習に励んでいます。

 

経験者の方の話などから、ゆっくりでも長く走れる持久力を養うことが重要だと考え、9月中は90分走り続けること、10月には120分走り続けることを目標にしました。

10月には15kmとハーフマラソンにエントリーしています。

 

栄養に関して考えていること

エネルギーが使われる順番は以下の通りです。

①食事由来の糖

②肝、筋グリコーゲン

糖新生

脂肪酸、ケトン体

(分子栄養学実践講座、まごめじゅん先生講義資料)

長時間のランニングをやりきるためには、糖だけではなく脂肪酸からスムーズにエネルギー、つまりATPを産生できるようにしなければなりません。

私は有機酸検査から脂肪酸代謝があまり得意ではないことがわかっています。

脂肪酸がエネルギーを作るべくミトコンドリアに入るためにはカルニチンが必要です。カルニチンは年齢と共に減少していきます。ミトコンドリア内で大量のATPを作りだしてくれる電子伝達系が働くためには、ナイアシン(ビタミンB3)、リボフラビンビタミンB2)、COQ10、鉄が必要です。

これまでのサプリにカルニチンCOQ10を加えました。ナイアシンは1日500㎎服用していましたが、1000㎎へ増やしました。

私は血清鉄もフェリチンも問題ないので、鉄はあえてとりません。

そして長距離を走るためにはエネルギー枯渇しないように、糖新生が活発に行われなければなりません。私は普段から糖質は少なめにしていますが、長距離を走る前には糖質を多めにとってグリコーゲンとしての蓄えを十分にしておいた方がよさそうです。

そして筋肉が分解されないようにBCAAも走る前には摂取しています。

ランニング後には、汗とともに大量に放出されたミネラルの補給が必要です。マグネシウム亜鉛の内服、お風呂にエプソムソルトを入れてゆっくり入浴します。

そしてランニング後に大量にできたであろう乳酸は肝臓で分解されるので、ゴキブリ体操(臥床し手足を上に上げてぶらぶらする)で、手足の血流をしっかりと肝臓に戻すようにします。

副腎疲労低血糖を抱えていては、到底走れませんので、これまで以上に体内のケアをしながら、完走するために必要な栄養素やそれをとるタイミングを考えながら、練習に励んでいこうと思います。

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GLP-1注射がブームです。

現在GLP-1注射がダイエット界のブームです。

この注射はダイエット界の歴史を塗り替えると言っても過言ではないと考えています。

 

GLP-1注射は本来糖尿病の治療目的で用いられる注射です。私は糖尿病は専門ではないので、この注射の理解のためにいくつか本を読みました。

最近の糖尿病治療のトレンドを知る上でこの本が非常に役に立ったので、紹介したいと思います。

 

糖尿病はグルカゴンの反乱だった -インスリン発見後、なぜ未だに糖尿病は克服できないのか

糖尿病はグルカゴンの反乱だった -インスリン発見後、なぜ未だに糖尿病は克服できないのか

 

 

沼津さとやまクリニック院長の稙田太郎先生の書かれた本で、2019年4月19日初版です。

この本では、糖尿病は「インスリンの欠乏」よりむしろ「グルカゴンの過剰」に原因があるということを、様々な研究論文を提示しながら述べられています。

一般的に、血糖が上がるとインスリンが分泌され血糖が下がり、血糖が下がるとグルカゴンが分泌され糖新生が起こり血糖が上がると認識されています。

このレベルで知識が止まっていた私には非常に興味深いな内容でした。

血糖が上がると膵島内が高インスリンの状態になります。膵島内の高インスリン状態が、同じく膵島内でグルカゴンの分泌を抑制します。そして糖尿病などで、インスリンが欠乏すると、インスリンによる抑制がはずれてグルカゴンが好き放題に暴れだし、血糖を上げる、場合によっては上がってる血糖を更に上げる可能性がある、という事が述べられていました。

例えインスリンが欠乏していても、グルカゴンを抑制できれば糖尿病が発症しないという研究結果まででてきています。

従って従来の治療のように、不足しているインスリンを補充する、作用を高めるだけの薬剤では、(特に1型糖尿病で)血糖コントロールがうまくいかないという事態が生じます。

そこでグルカゴンをいかに抑えるかという事が治療の肝になってきます。現在、グルカゴンに焦点を当てた薬の開発が多数進んでいるようです。

現在ある糖尿病治療薬の中でも、グルカゴン抑制作用のある、インクレチン関連薬にも注目が集まっています。GLP-1注射もインクレチン関連薬の一つです。

 

GLP-1はもともと体内にあるホルモンです。

GLP-1は下部腸管のL細胞で作られ、食事刺激で血中に分泌され、血糖の高さに応じてインスリン分泌を増幅し、一方グルカゴン分泌を抑制します。また胃排出を遅らせることで食後の急峻な血糖上昇を防ぎます。さらに中枢神経系を介して食欲を抑え、満腹感を高めます。

 

そしてGLP-1は更に全身に対して多彩な作用を有しています。

肝臓で脂肪肝を改善させる、脳では神経保護的に作用し神経新生を促す、心臓に対しても保護作用を持ち、褐色細胞に働きかけ熱産生を促す、免疫系では炎症を低下させるなどです。(Muskiet MHA et al.:Nat Rev Nephrol 13(10):605-628,2017)

 

ダイエット目的で使用したとしても、全身に対して抗加齢的な作用をもたらしてくれそうです。

 

実際に私もこのGLP-1注射を、1か月使用してみました。

効果は以下のとおりです。

①食後高血糖、夕方の反応性低血糖がなくなった。

これは実際にリブレを用いて確認しましたが、GLP-1注射を開始して以降、血糖スパイクが皆無になりました。食後高血糖インスリンの初動分泌が遅れ、グルカゴンの抑制がきかずに生じると考えられますが、インスリンの分泌促進、グルカゴン抑制によって高血糖がなくなり、その分、インスリンの過剰分泌が抑えられ、反応性の低血糖もなくなったように思われます。

これによって夕方の疲労感がかなり軽減され、夕方以降の家事などの活動がしやすくなりました。反応性低血糖がいかに生活に支障を来すのかを、改めて実感しました。

②体重が2㎏減った。

2年ほど前に仕事が忙しくなりジムに行く時間が減り、体重が2㎏増加して以降、全く戻る気配のなかった体重がストンと落ちました。

胃内容物の排泄遅延、脳への食欲抑制作用のためか、全く空腹を感じず、間食などがなくなりました。褐色脂肪で熱産生を促す作用のせいか、よく汗をかくようになりました。

ベスト体重に戻ったおかげで、体はすっきりと軽くなりました。

 

他にも、実感はできないものの、脳や心臓や肝臓などに対しても長期的に良い効果は多々あると考えられます。

 

今回、私が使用したものは週に1回注射をするlong actingタイプのものでした。毎日注射をするshort actingタイプの方が、食後血糖を低下させる作用や体重減少作用は強いといわれています。しかし注射の痛みや手間がありますので、週に1回のタイプも十分にメリットがあると思います。

副作用は消化管の蠕動運動を抑制するため、嘔気、便秘、イレウスなどがあります。私も注射を始めた当初は便秘気味になりましたが、2週間後ぐらいには改善していました。

デメリットとしては、金額がかかることです。糖尿病でない限りは保険適応にならないため、それなりに高額となります。

そして安全性に関しては、あくまで糖尿病の人を対象とした治験で確認されているため、糖尿病でない人が使用した場合の長期的な影響は確認されていません。理論上では上記で述べたとおり、全身性に良い作用といえますが・・・。糖尿病治療以外の目的で使用するのであれば、しっかりと調べて自己責任で行う必要があります。

これまで、患者さんからダイエット目的で、サノレックスや脂肪吸収抑制剤などのダイエット薬の使用を相談された時には、副作用や弊害を考えおすすめはできないと答えていました。

しかし、GLP-1注射に関しては今のところ(金銭的な理由以外で)おすすめできない理由が見当たりません。

ダイエット目的で使用している症例も増えていると思いますので、しばらく注目して情報を収集していこうと思います。

そして、注射を中止した後の体重や血糖に関しても今後観察してみたいと思います。

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