精神科女医の健康談義

精神科医の立場で精神科医療や栄養療法、漢方治療などについてわかりやすくお伝えしています。

新しい認知症の治療であるリコード法とは

前回の続きになりますが、認知症の予防について、更に詳しくお話したいと思います。

 

前回紹介したこの書籍。

 

アルツハイマー病 真実と終焉

アルツハイマー病 真実と終焉 "認知症1150万人"時代の革命的治療プログラム

 

 

ここでは認知症の予防法、治療法としてリコード法というものを提唱しています。

 

 

リコード法とは

 

アルツハイマー認知症は脳にアミロイドβが蓄積することで発症すると言われています。

脳は、①炎症 ②栄養不足 ③毒素という3つの脅威にさらされると、それに対する防御反応の一環としてアミロイドβを蓄積させて脳自体を守っています。

しかし脳に対する脅威が強力で、一向におさまらない状態が長く続くと、アミロイドβが過剰になってしまい、結果、アミロイドβが脳神経を破壊してしまいます。これがアルツハイマー認知症というわけです。

この3つの脅威を取り除くことで、アルツハイマー病とその前段階の患者の認知機能を回復させるプログラムが、リコード法(Reversal COgnitive DEcline)です。

 

 

①炎症を抑えるために

 

病原体などが侵入することで、炎症が起こります。この炎症が慢性的に続くと、アミロイドが産生されるというわけです。

炎症に関しては、うつ病との関連も指摘されており、以下のブログでお話しています。

www.sakuranbo23.com

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慢性炎症は様々あります。隠れた炎症では、上咽頭炎副鼻腔炎腸炎、歯の炎症など、心当たりがあるものは早急に治療すべきです。

トランス脂肪酸グルテンや乳製品は、腸管を傷つけ、リーキーガット症候群(腸漏れ症候群)の原因となり、炎症を引き起こします。

砂糖も炎症誘発物質です。糖化が炎症を引き起こします。

そして、血糖値が高い状態が続くと、血中のインスリン値も高い状態が続きます。インスリンを分解する酵素は、アミロイドβを分解する酵素と同じなのです。インスリンが高い状態では、インスリンの分解が優先されるため、アミロイドβが分解できない状態が続き、蓄積していきます。

血糖コントロールは非常に重要ですね。以下もご参照ください。

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②必要な栄養因子を補充する

 

脳の神経細胞を丈夫にするとアミロイドβの蓄積に強くなります。

脳の神経細胞を強化するものの一つに、脳由来神経栄養因子(BDNF)があります。これは運動で増やすことができます。

エストラジオールやテストステロン、ビタミンD葉酸なども神経細胞を丈夫にするためには欠かせない物質です。更年期障害などで、性ホルモンが低下した場合は積極的に補うのが良いのかもしれません。

 

 

③毒素を除去する

 

脳に、銅や水銀などの有毒金属、またはカビが産生する有害毒素(マイコトキシン)などが侵入すると、脳はアミロイドを産生し、これらの毒素と結合させ、神経細胞にダメージを与えないようにします。

アルツハイマー認知症の原因となる過剰のアミロイドが産生されないように、これらの毒素の発生源を取り除く必要があります。

カビが発生しないように、水回りを掃除することも、認知症予防になるということですね。

水銀については以下でお話しています。

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そして、有害物質をデトックスするために、アブラナ科の野菜をとり、きれいな水を補給し、サウナなどで汗を流し、グルタチオンなどの解毒作用のある物質を増やすようにします。

 

リコード法では、これらの原因のどれに当てはまるのか、徹底的に検査し、そして原因を除去していきます。

 

そこまではできないにしても、ここで述べたことを理解しておけば、私達が予防としてできる事もたくさんありそうですね。

 

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参考図書 アルツハイマー病真実と終焉 ソシム

認知症の予防は40歳から

今日は日本認知症予防学会の専門医教育セミナーを受講してきました。

現在、認知症の原因と言われているアミロイドβの蓄積は、発症より20~25年前には始まっています。

従って、予防が早すぎるということはありません。100年ライフを生きる私たちは、誰もが40歳を過ぎたら認知症の予防を考えるべきなのかもしれません。

 

認知症の原因として、一般的な内容と、分子栄養学的な視点からいえることをお伝えします。

一般的にはアミロイド仮説、コリン仮説、グルタミン酸仮説などがあり、これにより抗認知症薬の開発が進められています。

 

アミロイドカスケード仮説

現在最も有力な説です。

シナプス神経細胞)の膜表面に存在するアミロイド前駆蛋白質が、βセクレターゼ、続いてγセクレターゼで切断され、アミロイドβが産生され細胞外に蓄積します。不溶型のアミロイドβが蓄積することで、シナプス障害そして異常リン酸化タウによる神経細胞毒性が引き起こされ、神経細胞死を引き起こし、神経原線維変化をきたすとする説でです。

現在はこの説に基づいて、様々な薬の開発が行われています。

βセクレターゼ阻害薬、γセクレターゼ阻害薬、抗アミロイドβ抗体薬、アミロイドβワクチン療法、抗タウ抗体薬、タウワクチン療法などです。しかしいずれも開発段階や臨床試験で立ち止まり、実用化には至っていません。

 

コリン仮説

コリン作動性神経伝達物質(アセチルコリン)の減少が認知機能障害を引き起こしているという説です。

認知症患者でアセチルコリンの低下があることは間違いなく、現在臨床で用いられている、抗認知症薬、アリセプトやレミニール、リバスタッチなどはコリンエステラーゼ阻害薬であり、一定の効果が認められています。

しかしこれらの薬の効果が頭打ちするということは、アセチルコリンの低下は原因ではなく、結果として起こってくる現象にすぎず、これらの薬はほんの一部の対症療法にすぎないということでしょう。

 

グルタミン酸仮説

グルタミン酸は脳内の主な興奮性神経伝達物質で、その受容体の一つにNMDA受容体があります。NMDA受容体は大脳皮質や海馬に多く分布し、記憶に関する長期増強などの役割を担っています。アルツハイマー認知症の記憶障害の一部にはこのグルタミン酸ニューロンやNMDA受容体の障害が関与されていると考えられており、現在認知症治療薬として認可されているメマリーはNMDA受容体拮抗薬として、NMDA受容体の過剰な興奮を抑えることで記憶障害や認知症のBPSD(行動心理症状)を改善させることが期待されています。

 

しかしこれらの仮説では、私たちはどのように認知症を予防していいのかがわかりません。

そして現在使用されている薬や開発されている薬は、アルツハイマー認知症が発症する過程の下流部分に対する薬のみです。

 

ではアミロイドβができる原因から根本的に予防する方法はないのでしょうか。分子栄養学ではそれを可能なものにしてくれています。

 

アルツハイマー病 真実と終焉

アルツハイマー病 真実と終焉 "認知症1150万人"時代の革命的治療プログラム

 

 分子栄養学実践講座の宮澤賢史先生が熱烈におすすめしていた書籍です。

これによると、アミロイドβは脳の防御反応の結果として蓄積されます。この防御が慢性的になると強力になり一線を越え、アルツハイマー認知症の発症へ向かうわけです。

そして、この防御反応を引き起こす原因となるのが、以下の3つです。

①炎症

②栄養因子の不足

③有害金属や生物毒素(カビなど)などの有害物質

 

炎症は以下のブログでうつ病の原因にもなることをお伝えしました。認知症うつ病の関連も指摘されているので、認知症も炎症が関連していることはうなずけます。

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栄養素はビタミンやミネラルなど、脳が機能するために必要な栄養素です。

有害金属は以前に取り上げた水銀などです。カビを発生させないことも、認知症予防のために大切なことなんですね。

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これらの3つは分子栄養学の最大のテーマです。栄養学を学んで実践することの集大成は、認知症を予防することのように思えます。

 

今後もこのブログでさらに詳しくお伝えしていこうと思います。

 

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参考図書  認知症ハンドブック  医学書

アルツハイマー病 真実と終焉  ソシム

 

うつ病予防に摂りたい、MCTオイルは乳化させよ

以前の記事に、MCTオイルがうつ病の症状改善やうつ病予防に効果があるだろうというお話をしました。

今回はMCTオイルについてお話したいと思います。

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MCTオイルとは

 

MCTオイルは、ココナッツやパームに含まれるMCT(中鎖脂肪酸)だけを取り出した油です。

ココナッツオイルには中鎖脂肪酸が約60%、長鎖脂肪酸が約40%含まれています。MCTオイルは中鎖脂肪酸が100%であり、病気の予防目的で摂取するのであれば、純度が高いMCTオイルを使用しなければなりません。

中鎖脂肪酸は直接細胞内に入り込み、ケトン体を産生することができます。

 

 

MCTオイルで認知症も予防

 

MCT(中鎖脂肪酸)オイルはうつ病だけでなく、認知症予防においても注目されています。

アルツハイマー認知症の脳では、ブドウ糖がうまく利用できないために、脳がエネルギー不足となり、働きが低下します。しかし、ブドウ糖の代わりにケトン体をエネルギー源として利用できるということがわかっています。

アメリカでは、アルツハイマー認知症の患者さんがMCTの摂取により、ケトン体が増加し、認知機能の改善がみられたという研究結果が発表されています。

 

 

MCTオイルの摂取法

 

MCTオイルは摂取の仕方に工夫が必要です。

発煙温度が低いため、加熱料理はできません。

無味無臭であるため、コーヒーなどの飲み物に入れても違和感なく飲む事ができます。

しかし、MCTオイルを効率よく吸収するためには、乳化させる必要があります。乳化させることで腸管で吸収しやすくなります。そのままで飲むと分解吸収できずに、下痢になることがあります。

スプーンで混ぜるだけでは、水と油なので、当然混ざりません。

先日、私の師でもある知人に、乳化させるにはクリーマーがよいとすすめられ、アマゾンで購入しました。

 

これが、素晴らしかったです。

豆乳を少し温めて、MCTオイルを大さじ一杯入れます。

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そして撹拌すると、こんな感じに泡立ち、しっかりと混ざります。

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ほんのり甘みがあり、美味しく飲む事ができます。

毎日のMCTオイル摂取に加え、糖質の摂取を少し控えめにすると、更にケトン体が作られやすい体になります。

 ケトン体は満腹中枢を刺激して食欲を抑える働きもあり、体内の脂肪を燃焼してエネルギーを作り出すため、ダイエットにも最適です。

 

うつ病予防にも認知症予防にもダイエットにもなるので、絶対飲んだほうがいいですよね。

私もしばらく続けてみようと思います。

 

 

その物忘れは認知症?-認知症と加齢による物忘れの違いー

認知症の診断目的で来られる患者さんはもちろん、うつ病など他の疾患で通院されている患者さんからも「私は認知症ではないでしょうか」と相談されることが、多々あります。

認知症と加齢による物忘れについてお話したいと思います。

 

 

物忘れを心配される患者さんの訴え

 

ご自身で物忘れを心配される方は、「俳優の名前が思い出せない」「買い物に行ったのに、買おうと思っていたものを忘れていた」「大事な約束していたのにうっかり忘れていた」などとおっしゃることが多いです。

思い出せない、忘れてしまったという出来事を、ご自身で詳しくお話ししてくれます。

 

結論から言うと、ご自身で認知症ではないかと心配され相談される方で、アルツハイマー認知症と診断する事はほとんどありません。認知症と診断される方の多くは、本人はあまり自覚がなく、ご家族が心配して連れてこられます。

 

認知症と加齢による物忘れの違い

 

加齢による物忘れでは、出来事の一部を忘れます。しかし認知症では出来事全てを忘れてしまいます。

例えば、通帳をタンスの中に隠したとします。通帳をどこかにしまったはずだけど、どこにしまったか忘れたというのは加齢による物忘れです。認知症では自分が通帳をしまいこんだこと自体を忘れていまい、「通帳がない」と思い込み、しばらくすると「家族の誰かがとったに違いない」と物取られ妄想に発展することもあります。大事な約束をしても、約束した事自体を忘れて、喧嘩になったりします。

出来事全てを忘れるので、本人に自覚はなく、ましてや外来に来て、自分で物忘れの出来事を詳細に語ることは不可能といえます。

 

 

認知症以外の物忘れで注意したいこと

 

 認知症ではない方が物忘れを訴える際には、一度にいろんなことを言われて軽いパニック状態になってる場合や、身体的、精神的ストレスなどで、集中力が低下している場合などがあります。

うつ病でも集中力や判断力が低下し、認知症のように見えることがあります。

アルコールや睡眠薬などでも、一過性に健忘が生じることがあります。

甲状腺機能低下症などの身体疾患でも、気分が落ち込んだり、記憶力が低下したりしますが、これは治療可能な物忘れです。

 

 

記憶の分類について


記憶は、記銘(覚える)→把持(持っておく)→想起(思い出す)の3段階の過程から成ります。

認知症では記銘力、加齢による物忘れでは想起が低下する傾向があります。

つまり認知症では、そもそも記憶することができず、さっき言ったことも忘れてしまいます。
知っているけど思い出せない、というものは、加齢による物忘れでも起こります。


記憶の保持時間による分類では、即時記憶(直後の記憶で、起こってから思い出すまでの間に何も起こらない)、近似記憶(起こってから思い出すまでの間に何かが起こる、数分から数時間、数日まで)、遠隔記憶に分けられます。

認知症では近似記憶が障害されます。お米を炊いておいてと頼まれた後に、洗い物をしてしまうと、お米のことはすっかり忘れてしまいます。

初期の段階では、即時記憶が保たれるので、一見話を合わせられますが、数分前に話した事は覚えていなかったり、同じ事ばかり話したりします。


記憶を内容で分類すると以下のように分けられます。

・陳述記憶(言葉やイメージで表すことができる)

   エピソード記憶(いつどこで何が起こったという個人の経験)

   意味記憶(言葉の知識など)

・非陳述記憶(行動として再生される)

   手続き記憶(自転車をこぐ、泳ぐなど)、

   プライミングなど

認知症では意味記憶は比較的保たれるため、これは何?と聞くと「りんご」「えんぴつ」などと答えることはできます。しかしエピソード記憶が障害されるので、今朝何を食べてきた?という問いには答えられません。

手続き記憶は後期まで比較的保たれるので、かつては得意だった、裁縫や楽器などはできることが多いです。これを上手くリハビリなどで用いると良いでしょう。

 

 

しかし加齢による物忘れにしてはひどいが、認知症の診断には至らない人がいます。

そういった方を「軽度認知障害 Mild Cognitive Impairment (MCI)」と言います。

これに関してはまた次回にお話ししたいと思います。

 

※この場合の認知症アルツハイマー認知症についてです。

その他の認知症では、初期に記憶障害以外の症状が出てくることがあるので、改めてお伝えしたいと思います。

 

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参考文献 医学書院 認知症ハンドブック

 

犬と旅行ーネスタリゾート神戸ー

ワンコを連れて、知人家族とネスタリゾート神戸へ1泊旅行に行きました。

宝塚北サービスエリアで休憩。西日本最大級というだけあり、広大な敷地に、お店も充実しています。こぎれいなドッグランもあり、ワンコもたくさんいました。

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宿泊はネスタリゾート神戸。数多くのアクティビティがある複合リゾート施設です。

コテージを借りて、夕食は、そこのテラスでバーベキュー。一棟ずつ離れているコテージは、犬が鳴いても気にならず、バーベキュー中もワンコを自由にしておけるので、気兼ねなく楽しむことができました。

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日中はアクティビティを楽しみました。犬はアニマルフレンズ(動物たちとふれあうアクティビティ)以外は、基本的にどこでも一緒に入れます。ただ、一緒にアクティビティはできないので、誰かが交代で犬と待つ必要がありました。

カヌーだけは、犬用のライフジャケットをレンタルすれば、一緒に乗ることができます。

犬連れには優しい施設でした。アクティビティの質も高く、子供達も非常に楽しんでいました。子供と犬を連れた旅行には最高です。

しかし犬好きには、犬と一緒に参加できるアクティビティなどがほしいところです!

 

ワンコはこのライオンに向かって必死で吠えていました...

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うつ病の新たな治療②-炎症を抑えるにはー

前回の続きです。

前回はうつ病の病態の一部は炎症が関与しているというものでした。

では、脳内の炎症を制御すれば、うつ病の予防になる、もしくは一部のうつ病は改善するのではないかということです。

 

 

 

 

BHBの投与が脳内で炎症を制御する


BHBは、ケトン体の一種です。飢餓時に、脂肪酸の酸化によって、肝臓や腎臓で産生されます。ケトン体は、糖質制限によって出てくることで有名ですね。
以前は、脳はブドウ糖しかエネルギー源として使えないと思われていましたが、ケトン体も第二のエネルギーとして利用できる事がわかっています、
それどころか、ケトン体は脳を穏やかにする、集中力、記憶力を向上させるなどと言われています。

そのケトン体であるBHBに、前回お話したNLRPの活性を抑制し、炎症性サイトカインの産生を制御する働きがあることがわかりました。
BHBは元来生体内にあるもので、血液脳関門を容易に通過するので、治療薬としては非常に使いやすいと考えられます。
マウスの実験ではBHBの抹消投与(体の血管から投与すること)は脳内のBHBの濃度を上昇させ、抗うつ効果を認めることがわかりました。そしてストレスによって上昇する脳内の炎症性サイトカイン(IL-1β)濃度を抑制することもわかりました。

 

中鎖脂肪酸の摂取でうつ症状がよくなる


ただ経口投与(口から飲む)のBHBでは、容易に分解されて効果が得られません。そこで中鎖脂肪酸MCT)の経口投与が有効であることが動物実験で確認されました。
(BHBは非常に高価、MCTは安価なのも、なおよい点です。)
通常、体内にブドウ糖が十分にある時には、ケトン体は作られにくくなっています。しかしMCTは、摂取後直接肝臓まで運ばれ、容易にミトコンドリア内に入ることができるので、体内にブドウ糖があってもケトン体を効率的に作り出すことができます。
つまり、糖質制限をしていなくても、糖質制限中のような状態にもっていけるんですね。
MCTを内服すると、BHBに変化します。MCTの経口投与でもBHBの抹消投与と同様に抗うつ効果が得られ、脳内の炎症を抑制できることが確認されました。

現在BHBによる抗うつ治療を臨床的に応用できるよう研究をすすめられているようです。


MCTオイルを飲むというのは試してみる価値あり

 

ここからは私見ですが・・・
ケトン体であるBHBを増やすために、うつ病の方は糖質制限を試してみてもいいかもしれません。

糖質制限の注意点は過去のブログを参照ください。)
現在、市販でもMCTオイルは売っています。(中鎖脂肪酸含有オイルなどは含有率が低いのでほぼ効果は見込めないと思います)これを試してみるのもよいかもしれません。

まだ研究段階ではありますが、安全性が高い、お金もあまりかからない治療というのは試す価値があるように思います。

 

ただMCTの飲み方には工夫がいるようです。

それはまた来週にお伝えしたいと思います。

 

(糖尿病患者の方はケトン体が上昇すると糖尿病ケトアシドーシスを起こすことがあるので主治医にご相談ください。)

 

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参考文献:ストレスが脳内炎症を介してうつ病を誘発する機序の解明と新たな治療法の開発  岩田 正明

うつ病の新たな治療①-うつ病と炎症の関係ー

最近は、うつ病自閉症アルツハイマー認知症に、脳内の炎症が関係しているという報告が相次いでいます。予防医学の分野では、いかに炎症をおさえるかというのが、老化を抑える非常に重要な要素となっています。

先日、岩田正明先生(鳥取大学医学部脳神経医科学講座精神行動医学分野)の「うつ病の病態理解~ストレスによる脳内炎症~」という講演を聞く機会がありましたので、2回にわたって紹介したいと思います。

 

 

 

うつ病と炎症

現在、うつ病の病態には様々な仮説がたてられています。

遺伝的要因、神経内分泌仮説、モノアミン仮説・・・それらと肩を並べる一つという位置づけで神経炎症仮説を報告されています。


うつ病と炎症については、以前から関連性が指摘されていました。
風邪をひくと、食べられない、しんどい、やる気がおきない、気が滅入るなどの症状がでます。これを「Sickness behavior 感染が引き起こす精神症状」といいます。つまり、感染によって、うつに類似した症状を起こすということです。
これはウシでも報告されており、ウシが感染すると、マクロファージが炎症を感知して、炎症性サイトカインを出す、これが脳の神経に作用することで、眠れない、食べられないなどの症状を引き起こす事もわかっています。


以前から、うつ病患者さんの血液では炎症性サイトカインの上昇があることや、ストレスが血液中の炎症性サイトカインやCRP(炎症を反映する値)を上昇させることなどがわかっています。


炎症とうつ病に関連があることは間違いなさそうですね。

 

ストレスが炎症を引き起こす経路


ストレスがうつ病発症の引き金になることがありますが、ストレスと炎症はどう関係してるのでしょうか。

今回の講演では「ストレスが脳内の炎症を引き起こす」メカニズムが紹介されていました。
ストレスにより、脳内で炎症性サイトカインが産生されて、それが神経を障害するという内容です。
カニズムは以下の通りです。専門的な内容になっているので、読み飛ばして頂いても差し支えありません。


ストレスにより、脳内のグルタミン酸が上昇し、それが脳内ATP濃度を上昇させます。ATPが脳内のmicroglia(免疫担当細胞)のP2X7R受容体にくっつくと、細胞内の受容体であるNLRP3が活性化し、インフラマソームが起こり、炎症性サイトカイン(IL-1β、IL-6、TNFα)を産生します。この炎症性サイトカインが神経細胞を障害します。
うつ病患者さんでは血中NLRP3濃度が高く、回復すると健常者と同程度まで低下することがわかっています。
このNLRP→炎症性サイトカインは糖尿病、肥満、アルツハイマー認知症、喘息など様々な病態に関係していることも指摘されています。これらの疾患も炎症とかなり関連が深いということですね。

 

炎症を抑えて、うつを治療する


炎症の経路を抑え、炎症性サイトカイン産生を抑える事がうつ症状の予防や進行抑制になりそうです。
先ほどのATPがくっつくP2X7R受容体の阻害薬や、炎症性サイトカイン(IL-1β)の中和抗体なども研究開発されているようですが、治験での脱落や価格の問題で現在は実用化には至っていないようです。

そこでBHBという物質がNLRP→インフラマソームの過程を制御し、うつ症状を改善することが明らかとなってきました。
BHB(βーヒドロキシ酪酸)は非常に身近で、私たちの日常にも取り入れることができそうなので、BHBはに関しては次回詳しく説明したいと思います。

 

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参考文献:ストレスが脳内炎症を介してうつ病を誘発する機序の解明と新たな治療法の開発  岩田 正明